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最高裁判所第二小法廷 昭和32年(し)61号 決定 1958年7月15日

主文

本件特別抗告を棄却する。

理由

申立人の抗告理由は末尾添付の書面記載のとおりである。

よって案ずるに本件保釈保証金没取の決定を受けた者は、被告人高下賢士であるから、同人又は同人から特に異議申立について委任を受けた者から右決定に対して異議申立をなすは格別、その他の者からは異議申立をなす権限はないものというべきところ、本件異議申立人は被告人高下の被告事件が第一審乃至上告審に係属していた当時の弁護人であったが、右異議申立当時、右被告事件はすでに確定していたのであるから、申立人中山義郎の弁護権はもはや、存在していなかったこと勿論であり、又、同人は高下賢士から特に異議申立について委任を受けた形跡もないし、他方保釈保証金没取決定を受けたものは、高下であって、中山義郎自身は刑訴三五二条の「被告人以外の者で決定を受けたもの」ではないから、同人は異議申立権を有しないものである。従って同人の前記異議申立を不適法として棄却した原決定は正当であり、同人のなした本件特別抗告の申立もまた不適法としてこれを棄却すべきものとする。

よって刑訴四三四条、四二六条一項により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一)

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